講師の先生に、石器の加工の仕方を教わる

平成19年活動の記録

平成19年体験活動
「石器の原石を見つけよう! ―石器時代人にかてるかな?―」

平成19年度子どもゆめ基金(独立行政法人 国立青少年教育振興機構)の助成を受けて、8月1日(水)と2日(木)の2日間にわたり、「石器の原石を見つけよう」という体験活動をおこないました。
石器時代人が探し求めた、原石の性質と石器作りの知恵と工夫を理解するために、じっさいにわたしたち現代人が原石を拾い、石器を作るという一連の作業工程を体験しました。

出来あがった石器!

頁岩の原石を探して石器作りに挑戦

川原で石器の原石(頁岩)を探す

夏休みの2日間、梅雨明け直後の炎天の下でしたが、仙台市内を中心とした小学生高学年から中学生まで33名の参加者とともに、フィールド・ワークと室内実習をぞんぶんに楽しみました。

第1日目は、東北大学理学部自然史標本館に集合したのち、マイクロバスで山形県寒河江市の最上川長崎大橋付近の河原へ頁岩の原石を採集に出かけました。
まず全員で河原に降りて、「頁岩が河原にどのような状況で落ちているのか」を観察しました。つぎに講師の先生方から、石器作りのための良好な頁岩探しのコツ、つまり「ガラス質で粘り気のある頁岩」、「割ると石の表面に貝殻状の跡痕がみられる」、「原石を割ると中身がチョコレート色をしているのが良い」、「割っても原石の中身にヒビが入っていない」、「良く変成した頁岩」などの話を聞き、さっそく全員でそのような原石を探すことにしました。
初めはなかなか良好な頁岩を探せませんでしたが、何度も講師の先生方に採集した原石を割って中身を見てもらっているうちに、しだいに石器作りに適したものが拾えるようになりました。

こうして第1日目は良好な頁岩原石を採集して、翌日の石器作りに備えました。

大学生のお姉さんと共に拾った原石の加工

第2日目の午前中は、まず室内で「石器時代人が使った原石と石器の種類」と題して、日本の頁岩、黒曜石、サヌカイト、チャートなどの原産地遺跡がスライドで紹介され、つぎに旧石器時代の石器の観察方法やその種類についての説明がおこなわれました。
講師の先生が石器作りの模範を示すと、参加者全員で採集した頁岩を使った石器作りに挑戦しました。
旧石器時代人が作った槍、ナイフ、スクレイパーなどの石器作りもおこないました。作った石器で、肉、皮、紙、木などを切ってみると、参加者はその切れ味の良さに驚いていました。
午後からは、どのような手順で石器作りがおこなわれたのか、いかに計画的に作られているかを講師の先生の模範演技を通して理解を深めました。その後、作った石器を各自がスケッチして石器の観察方法などの考古学的な手法を学びました。

2日間という短い時間での体験学習でしたが、参加者の皆さんには、現代人から見て一つ前の時代の石器時代人が、良い道具を作るためにいかに知恵を絞り、工夫を凝らしたかを、原石の性質とともに理解して実感してもらえたことと思います。