名取川の露頭で化石をさがす

平成23年活動の記録

平成23年体験活動
「なぞの珍獣 パレオパラドキシアを探せ!」

平成23年度子どもゆめ基金助成活動として、8月17日~18日の2日間にわたり、「なぞの珍獣 パレオパラドキシアを探せ!」を開催しました。
この活動は、小学校高学年~高校生を対象として、新生代中新世の大型海生哺乳類化石の発見をめざして開催されたものです。

1日目は実際に仙台市太白区北赤石の赤石橋において地層を観察、化石採取をして、2日目は採集した化石のクリーニング、講師によるパレオパラドキシアについてのお話、パレオパラドキシアの歯化石のレプリカづくりなどをおこないました。
今年は、100名をこえる多数の応募があり、厳正な抽選の結果30名がえらばれました。

名取川の露頭におりて新生代中新世の地層を観察

化石を見つけるぞ!

1 日目は朝8 時に大学博物館に集合して、貸し切りバスで名取川上流の赤石橋にむけて出発です。参加者は、7~8人ずつ4つの班にわかれて、それぞれに大学生・大学院生の班長がつきました。
移動するバスの中では隊長を務める永広昌之先生から化石を探すところの地質についての説明とみんなの自己紹介がありました。およそ30 分のドライブの間で子どもたちはすぐに仲良くなったようです。

午前中から30度をこえる暑さの中、さっそく名取川の露頭におりて新生代中新世に浅い海でできたとされる茂庭層の地層を観察しました。
ここでは、礫岩や砂岩からウニや二枚貝、巻貝などの化石がみつかります。そして、運がよければ、パレオパラドキシアの化石がみつかるかも。さっそく化石さがしのはじまりです。
最初はどれが化石かわからなかった子どもたちも、化石の探しかたがわかるにつれて熱中して掘り進めていました。仲間が形のきれいな化石をみつけると、ますますはりきってハンマーをふるいます。

化石がでるかな?露頭をたたくこどもたち

お昼を食べ終わってから、さらに赤石橋下流側に移って化石採集をつづけました。暑さに参ってなかなかハンマーを上手にふるえませんが、二枚貝や巻貝、サメの歯、ウニ、木片などのたくさんの化石が採れました。
残念ながらパレオパラドキシアの骨や歯はみつかりませんでした。それでも、自分の手で化石をみつけることができて、みんな笑顔で帰りのバスに乗り込みました。

パレオパラドキシアの歯化石のレプリカづくり

大きな化石がでたよ!

2日目は、現地で採集してきた化石のクリーニングから始めました。
小さなハンマーと千枚通しを使って、化石のまわりについている余分な石を落とし、石にかくれている部分を削りだします。石をはがすと、化石の全体像がわかったり、下から新たな化石が現れたりという発見があります。
今回採ってきた化石を含む石はとても硬く、化石を壊さないようにとりだすのがむずかしかったようです。それでもなんとか化石をきれいにすることができました。
つづいて自分で採った化石の名前を調べて、標本ラベルをつくり、手作りの標本箱に化石といっしょに入れました。

シリコンの型に石膏を流し込んでレプリカを作ります。きれいにできるかな?

お昼ご飯のあとはパレオパラドキシアの歯のレプリカづくりに挑戦です。シリコンでできた化石の型に石膏を流し込んでレプリカができるまで待ちます。

甲能先生の話

石膏が固まるまで、甲能先生によるパラドキシアのお話です。
パレオパラドキシアの特徴やそのパレオパラドキシアの化石はどのように復元されたのか、デスモスチルス類の生活についての話、パレオパラドキシアの食べていたものの話、大型海生哺乳類の進化など話の内容は多岐にわたりました。

どんな色に塗ろうかな?

お話しがおわったころには、石膏のレプリカもすっかり固まって、今度は水彩絵の具を使ってパレオパラドキシアの歯化石のレプリカに色をつけることになりました。
歯の色だから白く塗る子が多いのかと思いきや、自由な発想で塗られた歯のレプリカは、金色だったり、緑色だったり、じつにユニークな作品ばかりとなりました。
まとめにはいり、班ごとに今回採集した化石の種類を発表して、それらの化石からわかる当時の環境を永広先生とともにまとめました。
最後に自分で綺麗にした化石、パレオパラドキシアの歯のレプリカをおみやげに持ち帰りました。