東北大学総合学術博物館

THE TOHOKU UNIVERSITY MUSEUM

深海に囲まれた国 日本

地球表面積の約70%は海で、陸地は約30%にすぎません。さらに、世界の海の平均水深は3,800mであり、一番深い場所であるマリアナ海溝チャレンジャー海淵は水深10,920mもあります。世界の海の多くは、実は深海と呼べる深さと言っても過言ではないでしょう。

その中でも、日本は領海と排他的経済水域(EEZ)に深海域を多く含んでいます。日本の陸地の面積は世界第61位ですが、海の面積は世界第6位です。さらに、日本の海域について、海水を体積で換算すると世界第4位です。その理由は、深海域が多いためです。

次に、日本列島と周辺の地形図を見てみましょう。

日本列島周辺の海底地形図

日本列島の太平洋側は海岸線に沿うよう、深い谷が発達しています。これらの地図を見ると、北海道の北から東北地方の東側には陸の海岸線となんとなく並行に、深い谷のような地形がずっと続いています。この谷は日本海溝と名づけられ、水深7,000m以上の深さです。西日本の太平洋側に続く谷地形は南海トラフといい、水深は4,000m級です。日本海も最も深い部分は3,700mを超えています。

日本の海に深海域が多いという理由の一つは、日本近海で地球表層を覆うプレート(地殻)と呼ばれる大きな岩盤が沈み込んでいることが挙げられます。

地球全体は大きく4層に分かれており、表層から、プレート(地殻)、マントル、外核、内核と呼ばれます。地球表層を覆うプレートは十数枚に分かれており、1枚1枚のプレートは、常に押し合ったり、引きあったり、横にずれあったりしています。

地球の内部構造

世界のプレート

日本近海の太平洋側では、海側から2種類のプレートが陸側に沈み込んでおり、その場所に、深い谷が作られます。海でできるプレートは陸のプレートに比べると、密度が高く地球内部に引っ張られやすいので深海域を作り出しやすくなります。さらに陸側のプレートの下に沈み込むことで、日本海溝や南海トラフのような深い地形を作り出します。

深海には、私たちが普段目にすることのない姿の生物が存在し、想像よりも高い山と深い海に囲まれ、社会に大きな影響を与える様々な自然現象が起こっています。

深海の世界で起こっていることは、陸に住む私たちの生活に大きな影響を与えています。 さらに、深海は、現在の地球の姿だけでなく、生命の起源、惑星の成り立ちを解明するヒントとなる場でもあるのです。

次のページでは、東北地方の地形と地質を例に、日本列島と深海の関係についてみてみましょう。

深海って、どんなところ?
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