東北大学総合学術博物館

THE TOHOKU UNIVERSITY MUSEUM

東北地方の地形と地質

東北地方の地質

東北地方は東側は太平洋、西側は日本海と東西を海に挟まれています。陸の中央部には十和田湖、栗駒山、蔵王山などの火山列が南北に連なります。その東側には北上川、阿武隈川が山脈に沿うように流れ、これらの川は、古くから奥大道や奥州街道と呼ばれ、現代では東北新幹線や東北自動車道など、歴史を通じて東北地方の幹線道路としての道標となってきました。

さて、東北地方の地質は、大きく2つに分かれます。1つは、上記の河川の東側に位置する北上山地や阿武隈山地です。これらの場所は、主に恐竜をはじめとする生物が大絶滅した6600万年前よりも古い、古生代から中生代の地層でできています。一方、北上川、阿武隈川の西側は、新生代と呼ばれる6600万年よりも新しい地層が多く見られます。

ここまでの地形を見ると、火山の配列、海岸線、日本海溝がなんとなく並行になっていることに気がつきましたか?

東北地方の地形・地質の概要
(凡例の分布は産業技術総合研究所シームレス地質図および日本の活火山を参照。)

東北地方の地形や地質は、北北東-南南西方向に発達していることが特徴です。

東北地方の土台は、海側が太平洋プレートで陸側は北米プレートという2つのプレートでできています。そして、これら2つのプレート境界が日本海溝です。太平洋プレートは、東から西へ向かって、北西方向へ年間約8~10センチメートルの速度で北米プレート側に沈み込んでいます。そして、プレートの沈み込みによって、現在では、プレート境界部分にあたる日本海溝付近では巨大地震や津波が引き起こされます。

日本列島とプレートの関係

次に、火山とプレートには直接的な関係があります。前ページで説明したように、東北地方の中央部分には多くの火山が列状に存在します。その理由は、日本海溝のプレート境界部分から、海洋プレートにしみ込んだ海水が、地下深くで絞り出されてマントルを溶かし、火山を生み出すマグマとなっているためです。

プレート境界の断面図

日本海溝と火山列はこのようにプレートの沈み込みという関係でつながっています。そして、プレート沈み込みの最前線は深海です。次のページでは地質をみることで、過去の東北地方の姿を再現し、その成り立ちについて見てみましょう。