地図制作には有料、無料の多くのソフトがありますが、世界中で多く使用されているオープンソース(無料使用が可能)の地図作成ソフトとして、GMT (The Generic Mapping Tools)が挙げられます。GMTは1984年にコロンビア大学ラモント研究所の大学院生だったポールワッセル(現ハワイ大学教授)とウォルタースミス(現アメリカ海洋大気庁地球物理学専門家)によって開発されました。GMTは年々更新され、現在の最新版は、2013年に発表されたGMT第5版です。
日本の海底地形図は海上保安庁や海洋研究開発機構をはじめとする研究調査船で調査されており、世界の国々と協調し、海底地形図やデータベースなどの形で国際的に広く使用されています。また、世界の海底地形図はGEBCO(太洋水深総図)という各国が参加するプロジェクトによって標準化されてきました。現在、日本財団がGEBCOに出資し、2030年までに地球全球の海底地形図を完成されるための取り組みが進められています。
日常的に私たちが目にする地図は、YahooやGoogle mapなどインターネット検索エンジンに依存するものが多いですが、高い技術に裏打ちされた高精度の地図を安価に利用できる背景としては、デジタル技術の進化とともに非営利団体を含む国際的な調査の継続や標準化の取り組みにも支えられていることが挙げられます。もちろん、そこには世界の一員として日本の研究機関も貢献しているのです。
地図の作成には、常に技術開発が伴います。これからも他分野の技術の進展に従って地図の姿もより多面的な情報を理解できるものに変わっていくことでしょう。
参考文献:
Yamashita et al., 2017, Bathymetric imaging of protothrust zone along the Nankai Trough, Island Arc. (DOI: 10.1111/iar.12233)
GMT (The Generic Mapping Tools)
GEBCO (General Bathymetric Chart of the Oceans)