東北大学総合学術博物館

THE TOHOKU UNIVERSITY MUSEUM

プレートテクトニクスの発展

地球はどのような歴史を経て今の姿になったのでしょうか?

この答えを与える主要な理論の1つがプレートテクトニクスです。プレートテクトニクスとは、地球の表層にはプレートという十数枚の層があり、それぞれのプレートが別々の方向に動くことで、地学的な様々な現象を説明できるという理論です。

例えば、「どうやって山ができたのか」、「地震、津波、火山噴火はなぜ起こるのか」、「大陸や島はどうやってできたのか」など、プレートテクトニクス理論では、これらの現象の多くを説明することができます。実際に、現在の様々な地質学的現象のほとんどについては、プレートテクトニクス理論を基に議論されます。

具体例については第4回「日本列島の形成」で説明するとして、ここではプレートテクトニクス理論形成の歴史について見てみましょう。

大陸が動くという概念についての本格的な議論は、1915年にドイツの気象学者であったアルフレッドウェゲナーによる著作である「大陸と海洋の起源」がきっかけになっています。彼は著作の中で、アメリカ大陸とアフリカ大陸の海岸線の形が似ていることや、両大陸に存在する化石や過去の氷河の分布など様々な現象とともに、両大陸は元々はつながっていたことを提唱しました。

当時の人々の間では、ウェゲナーの理論に心惹かれる人がいる一方で、人間の一生の時間感覚で考えて大陸が動いているのかと疑問を持つ人々もいました。むしろ後者の方が多かったのです。

参考文献に掲げた「地球科学に革命を起こした船」の著者であるケネス・シューは、1944年の中国の大学ではウェゲナーの大陸移動説が支持されていたものの、1948年に進学した米国の大学院では大陸移動説が間違えていると聞かされて驚いたと記述しています。

この大陸移動説が正しいか正しくないかという論争に対し、画期的な証拠をあげることができたのが海洋底探査です。海洋底探査が有効だった理由は、地殻表層の動きの原動力の証拠が保持されている場所であったからと言えるでしょう。

次のページでは、1950年代から本格的な調査が行われ始めた海洋底探査について見てみましょう。

1

参考文献:
吉田 晶樹, 2015, ウェゲナー「大陸移動説」完成100年に寄せて(JAMSTECニュース)

Hsü, K.(高柳洋吉訳), 1992, 地球科学に革命を起こした船. 東海大学出版会.