第9回公開講演会 「液晶テレビの現状と今後」当日の様子

第9回-1 公開講演会
      「液晶テレビの現状と今後」

内田龍男教授

講演者 : 内田龍男 (東北大学工学研究科長)
開催日 : 2006年9月30日

 テレビに使われているディスプレイは、長い間、CRT(ブラウン管)が主力を担ってきましたが、最近のディジタルハイビジョンテレビの進展により、大型化、薄型化、高精細化が進み、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイなどの新しいディスプレイが誕生し、急速に発展してきています。特に液晶ディスプレイの発展はめざましく、超小型から大型ディスプレイまで幅広く実用されています。 内田先生は、液晶の基礎研究や画面表示工学の研究を長年続けてこられ、世界の液晶ディスプレイ研究をリードされてきました。講演ではまず、プラズマディスプレイと液晶ディスプレイ双方の優れた点、技術的問題について解説されました。ついで、液晶ディスプレイの高解像度化、高コントラスト化、広視野角化、低電力化等の技術の発展の経緯、例えば、フルカラーの動画が可能なR-OCB方式を用いた、光の利用効率を極限まで高めた反射型カラー液晶ディスプレイについての研究、OCB方式の高速性を利用して時分割で3色の画像を高速に切り換えるカラー表示(フィールドシーケンシャル方式)の開発などについて紹介され、さらに現在挑戦されている超低電力化や大画面化について詳しく話されました。

第9回-2 公開講演会
      「携帯電話のつながる仕組み」

安達文幸教授

講演者 : 安達文幸 (東北大学工学研究科教授)
開催日 : 2006年10月1日

 移動しながら会話ができる携帯電話の前身として自動車電話が登場してからわずか25 年しかたちませんが、今や80%近い日本人が携帯電話やPHSを利用するまでになってきています。私たちはどこにいても電話をかけ、うけることができますし、移動しながら会話を続けることもできます。また、携帯電話は、会話だけでなく、様々な形態の通信をあつかうマルチメディア情報端末にもなりつつあります。しかし、私たちのまわりには様々な電波があり、また、受信条件も様々です。「いつでも、どこでも、誰とでも、どんな情報をも瞬時にやり取りしたい」という夢を実現することは容易ではありませんでした。 講演では、なぜどこにいても電話できるのか、どうして移動中でも途切れずに電話をし続けることができるのか、音声はどのようにして送られるのかなど、今日の携帯電話時代を可能にした、高度な無線技術の研究開発の過程について詳しく紹介されました。ひとつひとつの基地局の電力は1ワット以下で狭いエリアしか覆うことができませんが,このような基地局を多数配置し,受け渡しすることによって、「どこでも」「途切れずに」電話できること、また、携帯電話に利用できる無線チャネル数には限りがありますが、電波の強さは距離が遠くなるにつれて弱くなるという性質があるので,同じチャネル群を離れた基地局で利用できるので、限られたチャネル数で日本全国を覆うことができることなど、多くの疑問が解けました。

第9回-3 公開講演会
      「電気自動車が拓く未来の夢」

一ノ倉理教授

講演者 : 一ノ倉 理(東北大学工学研究科教授 )
開催日 : 2006年10月1日

今日エネルギー問題・環境問題に関連して、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などが注目され、開発が進められています。電気自動車は、クリーンで静かなため環境対策の切り札として期待されていますし、減速するときや坂道を下るときはモータが発電機になり、車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに返せるので、高いエネルギー利用率を実現しています。しかし、電気自動車はバッテリーの充電に時間がかかり、価格も高いという問題があります。ハイブリッド自動車は、エンジンとモータを併用することで、ガソリンの消費量を減らし、燃費を2~3倍に改善しています。しかし、ハイブリッド自動車は排出ガスがゼロではなく、ガソリンのもとになる石油資源も有限です。燃料電池自動車は、水素と酸素の化学反応によって電気を作る燃料電池を搭載しています。排出されるのは水蒸気のみなのでクリーンで、水素は水の電気分解で生成できるため、究極の自動車といわれています。しかし、現状では価格が非常に高く、水素の製造や供給方法など解決すべき課題がたくさんあります。講演では、価格が高く、バッテリー交換の問題がある電気自動車の実用化へ向けての提言と技術開発について話されました。電気自動車を活用するため幾つかの都市で試行されている共同利用システム、電気自動車の特長であるモータのレイアウトが自由なことを活かして開発された、モータを車輪の中に組みこんだインホイール方式等について紹介されました。

 

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