東北大学総合学術博物館のすべて Ⅷ 「中国・朝鮮国境の大活火山 白頭山の謎」

日本で見つかった白頭山の灰

白頭山が10世紀に巨大噴火したことはなぜわかったのでしょうか。きっかけはここ東北日本に降り積もった数cmの火山灰でした。

1970年代の日本海の海底ボーリング調査において、白色の火山灰が、多くの地点で確認されました。同様の火山灰は北海道・北東北地域でも確認されていましたが、その厚さは数cm程度で、日本海で発見されたものよりも薄いという特徴を示しました。この火山灰は日本の火山のものとは化学組成の異なることと、中国大陸に近づくにつれて層の厚さが厚くなるという特徴から、白頭山からもたらされたと判断され、白頭山苫小牧火山灰層(B-Tm火山灰)と呼ばれています。

白頭山苫小牧火山灰層は、青森県内において十和田火山から噴出された火山灰層(十和田a火山灰)のすぐ上にあることが観察されます。この十和田a火山灰は、日本の記録文書「扶桑略記」中で降灰記録とされている915年の記述に対応する火山灰と考えられています。このことから、白頭山の噴火時期は915年以降の10世紀前半であると推定されました。

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白頭山火山灰(B-Tm)層の等層厚線図

白頭山火山灰(B-Tm)層の等層厚線図(町田ほか、1981;町田・新井、2003)
数字は火山灰層の厚さを示します。赤丸は海底ボーリングで火山灰が確認された場所を示します。

青森県田代湿原で観察された白頭山苫小牧火山灰層と十和田a火山灰層

青森県田代湿原で観察された白頭山苫小牧火山灰層と十和田a火山灰層