自然のちから+人間のちから「リンの調節」●企画展「土のけしき・土のふしぎ」 東北大学総合学術博物館のすべてⅨ

リンの調節

リン肥料にからみつく根

リンは植物の生育に細胞膜、DNAの成分などとして必要です。欠乏すると植物は生長できません。しかし、リン肥料は土にまくと土の成分と反応して、効果が下がってしまいます。そのうえ、近年はリン肥料の主原料であるリン鉱石の枯渇が心配され、値段も大きく変動しています。

植物の中には、飢えた生き物のようにリン肥料に根がからみつくものがあります。今のところアブラナ科作物(コマツナやハクサイ)とソバに認められています。植物の根にはリンの吸収を助ける菌(カビ)が共生することが多いのですが、アブラナ科植物にはその菌が感染しません。しかし、アブラナ科植物はこのような強い根の反応がでるので、少ないリン資源の節約のためにも、固形のリン肥料を土の一部に直接与える方法が有効です。

リン肥料に対する作物の反応の違い