第3部 河口慧海の請来品 -衣類染織品・日用品・標本類

衣類染織品はじめ日用品・装飾工芸品,そして動植物・岩石の標本類などを展示します。また,押し葉標本のうちのヒマラヤザクラ,カワウソの手,コンニャク石,慧海がインド中部の聖地・霊鷲山で採取した石など,さまざまの学問領域からの研究成果も交えて解説します。
クラウフルディア属の一種

衣類染織品・日用品・装飾工芸品
衣類染織品・日用品・装飾工芸品は、河口コレクションの民俗資料など413点から、僧侶や一般の人々が身につけた衣服類はじめ日常の生活に必要な飲食器から文房具、鍵・錠、財布、貨幣・切手、雑貨、そしてアクセサリーなど装身具63件を選んだものである。これらは、慧海が2回にわたりチベット旅行した19世紀末から20世紀初頭におけるチベット人の生活臭をそのまま感じさせるものとしてはなはだ興味深いものである。



婦人服 ランプと芯

財布 トルコ石

動物標本
人骨を使ったチベット独特の法具で、仏教の諸行無常、無我の理を悟らせるためのものとされる髑髏杯(どくろはい)・頭蓋骨の念珠・大腿骨の笛などがある。髑髏杯・頭蓋骨の念珠・大腿骨の笛は鑑識を行い、その結果とともに標本類として展示している。

髑髏杯髑髏杯
人間の頭蓋骨(頭の骨)で作られたカパーラという杯。「有と無の分別を断つ」シンボルとして密教儀式の際に用いる法具でる。日本語の「瓦」はこの「カパーラ」から来ている。この標本は共に成人の頭蓋骨である。(企画展図録解説より)

人骨の笛人骨の笛

人間の大腿骨(太ももの骨)を加工して作ったカンリンという管楽器の一種。密教儀式の際に用いる法具でもある。片手で水平に構えて吹き、普通2本1組で用いる。この標本は全て右側で、身長約150cm程度の成人の大腿骨である。(企画展図録解説より)

カワウソの手
雪男の手(ユーラシアカワウソの手)
手には大きな爪と皮膜(水かき)がありますが,この標本は爪が根元で切断され、皮膜が目立たないようになっているため、人間の手とよく似た外見になっている。(企画展図録解説より)
鉱物・岩石・化石標本
「真宗大谷派の理学博士石川成章氏は,地質学上の参考品をという依頼であったので,ヒマラヤ山中で岩石を砕いて持ってきた。中には化石もあったし,珍しい貝の化石もあった。」(河口慧海チベット旅行記より)

コンニャク石コンニャク石
コンニャク石は,イタコルマイト(Itacolumite)の俗称で,薄板状にしたときに,この石が岩石でありながら曲がることから名づけられた。(企画展図録解説より)


アンモナイト
化石(アンモナイト)
フィロセラス目のHaplophylloceras strigilis Blanfordあるいはその近似種と判断される。 (企画展図録解説より)
押し葉標本
慧海の手元に残されていた植物標本は,”The Collection of the Indian and Himalayan Plants”という題名の1冊の標本帖にまとめられている慧海コレクションの植物標本帖。この標本帖には縦39 cm,横29 cmの暗青色の台紙99枚が綴じられており,各台紙上にはそれぞれ1点?5点の標本が糸で縫いつけられ,採集場所や年月日が赤色顔料や墨で記入されている。標本の採集年月日はチベット入り直前の1913年の3月から11月となっており,採集地はダージリンの周辺やカリンポン,シッキムのTista川流域が多い。(企画展図録解説より)

ヒマラヤザクラヒマラヤザクラ
Prunus cerasoides D.Don
ヒマラヤザクラはネパールやシッキムの秋を彩る代表的なサクラで,花や葉は日本のヤマザクラに似ている。採集地のローズ・バンクはダージリンの郊外にある。(企画展図録解説より)
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