ごあいさつ 企画展「まっくろ黒鉱-驚きに満ちた鉱石-」 東北大学総合学術博物館のすべてⅪ;

ごあいさつ

東北大学の所有する学術コレクションを広く学内外に紹介する、企画展「東北大学総合学術博物館すべて」シリーズは、今回で11回目を迎え、また新たな気持ちで、この展覧会を開催いたします。
今回の企画展は、「まっくろ黒鉱-驚きに満ちた鉱石-」と題して、日本を代表する鉱石、黒鉱をテーマに取り上げ、黒鉱とはどんなものなのかを紹介し、鉱山の歴史と社会との関係、この分野における研究状況について概観いたします。
「黒鉱」は、銅、鉛、亜鉛、硫黄などの元素を多く含む鉱石です。主に秋田県北東部の北鹿地域に密集していることがわかっていましたが、精錬の難しさから、事業化は不可能と思われていました。しかし、黒鉱をめぐるその後の研究は、予想外に多くの分野に新たな道を開いたのです。黒鉱を精錬する技術の開拓は、鉱石の精錬技術の基礎をなし、黒鉱鉱床の形成に関する研究は、日本海の形成時の海底火山活動をも巻き込む新たな学説を打ち立て、その学説を裏付けする調査の際には、まったく予想もしなかった深海の生物を発見するなど、さまざまな分野に波紋が及びます。今では「KUROKO」の名は世界の共通語として知られるようになっています。
東北大学では、黒鉱の研究をすすめてこられた理学部の諸先生方の資料標本が数多く収蔵されており、その一部が理学部自然史標本館に展示されています。この企画展開催にあたって、資料標本類の寄贈や貸与をご快諾いただきましたDOWAホールディングス株式会社、DOWAメタルマイン株式会社、小坂製錬株式会社、独立行政法人海洋研究開発機構、展示場所をご提供いただいた仙台市科学館、展示プラン等の支援をいただいた山田亮一博士に厚くお礼申し上げます。

 

東北大学総合学術博物館
館長 柳田 俊雄