| 企画展において展示の中心となっている「冬虫夏草」液浸標本は、在野の「冬虫夏草」収集・研究者として有名な矢萩信夫氏(山形県真室川町)によって30年の歳月をかけて全国各地から収集された標本の一部で、総合学術博物館に寄贈される予定の73点です。 矢萩氏が収集を開始した1970年代は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病とともに、悪性腫瘍が社会的に話題性をもつようになっていました。当時は新しい制癌剤の開発が強く望まれており、免疫活性化作用を示すサルノコシカケ科菌類も制癌剤の候補品の一つとして注目されていました。山形県内の病院の薬局長を長年勤め、日頃からキノコに慣れ親しんでいた矢萩氏は、サルノコシカケ科菌類に興味をもち、美味な食菌ではあるものの人工栽培が不可能とされていたマイタケの人工栽培に挑戦しました。実験を繰り返すうちにそれまで見たことがないキノコが発生しました。矢萩氏は、このキノコ(ヤニタケ)を同定する過程で、当時、山形県白布高湯の熱帯植物園長であった「冬虫夏草」研究の大家、清水大典氏と出会いました。清水氏から「冬虫夏草」を紹介された矢萩氏は、昆虫と子実体の調和した姿の造形実に魅せられるとともに、「冬虫夏草」の制癌剤としての可能性に惹かれました。その後、矢萩氏が山形県を中心として収集した「冬虫夏草」標本は50種以上、標本数は1.000をこえ、これらは300数十本の液浸ガラス容器で保存されています。 →コレクション画像へ |
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