第2部 河口慧海の請来品 -仏教美術資料-

チベットを中心にネパール・インドのタンカ(仏画)・ツァカリ(小絵片)・木版画・護符,経帙版,小金銅仏・木彫・石仏・サッチャ(粘土製のお守り),仏具などの仏教美術資料を展示します。中でも木版画の護符,サッチャは量的に多く,チベットの民間信仰を示す資料として世界的にみても価値が高いものとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白傘蓋仏母像
白傘蓋仏母像
タンカ
身色は霊山のように白く、千の頭を持ち、千の目を有する。右第一手には法輪(ほうりん)を持つ施無畏印(せむいいん)、左の第一手に宝幢(ほうとう)で飾られた白傘蓋を持ち、左右千足で一切の悪魔を踏む。身には種々の宝珠の装身具を付け、良い天衣(てんね)の上着と下着を纏う。
 描写表現は、特青と赤、緑と橙それに白の配色が美しく、筆致は丁寧で精確である。チベットのタンカ(軸装の仏画)の多くが、《あく》の強い表現をとり、日本人の感覚になじまないところがあるが、本図などは日本の仏母に接するような温和で優美な作風を示す。・・・」(企画展図録解説より)
無量寿仏
無量寿仏
小金銅仏
大振りの冠を着けた菩薩形の坐像で、両手を腹の前で組み合わせた禅定印をとり、その上に蓋付きの瓶を乗せている。この図像は無量寿仏をあらわし、延命長寿の仏として信仰を集める、チベットでは最もよく見られる尊像のひとつである。(企画展図録解説より)
ヤブユムの持金剛
ヤブユムの持金剛
ツァカリ
「曼荼羅や仏・菩薩像などを描いた彩色の小絵片をいい、本来は携帯用図像集として使用されたものらしい。河口コレクションのツァカリは、密教の本初仏である持金剛父母仏(ヤブユブ)などの諸尊21枚あり、濃彩鮮麗な細密画として優れる。」(企画展図録解説より)
菩薩
菩薩
木彫
菩薩像の足僅には,
 「誌/尼波爾國伽多満都府菩/陀迦葉波佛/塔之内ニ於テ/得シ所ノ像ナ/リ 日本僧/慧海」
 と朱書されており,ボードナート大塔から得られたものである。(企画展図録解説より)
十一面観音
十一面観音
木版画
「本図は、『仏頂尊勝陀羅尼』を仏格化した仏頂尊勝母を尊勝仏塔に替え、無量寿仏と白色ターラー菩薩で、業障消滅・延命長寿を願う長寿三尊とした珍しい例である。また、十一面観音はチベットでは通常の十一面八臂で表わされ、これを本尊として周囲に金剛界四仏を配するのは大悲十一面観音曼荼羅の構成を応用したものである。ただし、西方阿弥陀如来に代り中方毘盧遮那が配されるのは、本尊の十一面観音が蓮華部に属する尊格であるための配慮と考えられる。」(企画展図録解説より)
緑ターラー菩薩
緑ターラー菩薩
サッチャ
「サッチャ(ツァツァ)は、粘土を型に嵌(は)め、天日で乾燥して作る小仏のお守りである。チベットで広く普及しており、家庭の仏壇に安置したり、厨子に入れて持ち歩いたり、あるいは寺院に奉納したりする。河口コレクションには81点のサッチャがあり、無量寿仏・千手千眼観音・弁財天・ガルダ(金翅鳥(きんしちょう))など種類も多く、世界的にみても貴重な仏教美術資料とされている。」(企画展図録解説より)
悪霊による災を除く護符
悪霊による災を
除く護符
護符
「護符の中にはインド起源のものもあるが、とくに古いタイプの密教を伝えるニンマ派の地中や寺院の壁の中から発掘されたと伝えられる埋蔵教法に属する護符が多い。護符は病気や災害、事故をひき起こす悪霊(魔)を封ずるためのもので、病気平愈、災害除け、盗難除け、火災除け、家畜の保護など多岐に亘り、チベット人の信仰のありようを示す資料として注目される。」(企画展図録解説より)
摩尼
摩尼(携帯用
摩尼(マニコロ)
 摩尼は、寺に参詣する時や家でお経を唱える時に左手にもって右方に廻すものである。摩尼を一回廻すとその経典を一回読んだものと同じ功徳があり、罪障が減少すると考えられている。経典(摩尼内符)を入れる円筒部に取り付けられた鎖と鉛玉が振り子の役目をする。(企画展図録解説より)
経帙板
経帙板
経帙板(きょうちつばん)
一枚一枚の紙に書かれた経典を薄板で上下に挟み、経典を保護する板のことをいう。 経帙板には仏像や文様を彩絵し、漆地金彩で装飾したものや、銅板・堅木に彫り出したものがあり、中には「三仏・二十八仏」「五仏・二十仏」の諸尊を高浮彫りした荘重なものもある。(企画展図録解説より)
五鈷鈴
五鈷鈴(ごこれい
仏具
 仏具には戒律に規定された比丘の持ち物である鉄鉢・錫杖があり、密教の儀式で使用する代表的な密教法具としてチベットで多く使用される五鈷杵・五鈷鈴、九鈷杵・九鈷鈴などがある。(企画展図録解説より)
*画像をクリックすると大きな画像をみることができます。

戻る  TOP  企画展第1部  企画展第3部