自然のちから+人間のちから「生育をさまたげる酸性の土」●企画展「土のけしき・土のふしぎ」 東北大学総合学術博物館のすべてⅨ

生育をさまたげる酸性の土

多くの湿潤気候下にある台地・山地の土は酸性化します。それは薄い炭酸水である雨の影響を受けるからです。雨が降ると、岩や火山灰からカルシウムイオンなどが溶け出す一方、目に見えないほど小さな鉱物が 沈殿して土ができます。しかし、さらに酸性化が進むとその鉱物からアルミニ ウムイオンが溶け出やすくなります。このアルミニウムイオンの過剰が農業上の問題です。

酸性化とその影響
変化する窒素(尿素)の作用

アルミニウムイオンは多くの作物に有害です。特にゴボウ、ニンジン、ムギ、ホウレンソウ等はアルミニウムの害を受けやすい作物です。左の写真は、アルミニウムを過度に含んだ強酸性の土を下層に置いたものと、弱酸性の土を置いたものでゴボウを栽培した例です。下層が強酸性の土ではゴボウの根の成長が悪い様子がわかります。 このような土でも、石灰(炭酸カルシウム)で土のpHを6付近まで上げる(中和)と、根は伸びるようになります。したがって、このように上層の土だけでなく下層の酸性中和も重要です。