縫合線のふしぎ/アンモナイトはなんの仲間?/みちのくはアンモナイトの宝庫 東北大学総合学術博物館

縫合線のふしぎ

縫合線に色が塗られたアンモナイト標本

左の写真をご覧ください。一部に色がぬられ、曲がりくねった線が示されています。これは何でしょうか? この線は隔壁の一番外側の、殻にせっする部分の断面です。殻が溶けたり、はがれたりすると(研究のため殻を溶かしたり削ったりすることもあります)、この線があらわれます。隔壁はらかん(管状に巻いたもの)の中央部付近ではゆるい曲面となっているだけですが、外殻に近くなるにつれ、シワ状におれ曲がり複雑になります。外殻に接する部分がもっとも複雑で、この部分の断面を縫合線とよんでいます。アンモナイトの縫合線は一般にオウムガイのそれより複雑で、とくに進化したアンモナイトは、菊の葉の縁どりのような、きわめて複雑な縫合線を示します。

縫合線は、その複雑さにもかかわらず、同じ種類ではきわめてよく似ています。おなじグループの縫合線は共通点をもち、進化とともに、その仲間の特徴を残しながらしだいに複雑になっていきます。ひとつの個体をとってみても、成長初期は比較的単純な、その仲間の古い形の縫合線をつくりますが、成長とともに複雑になっていき、ある程度成長するとその種独自の縫合線の形をつくるようになります。縫合線は、アンモナイトを分類したり、進化の歴史をさぐる上できわめて重要な鍵となります。このように、アンモナイトの分類をするために縫合線に色を塗り、わかりやすくした標本がしばしばあります。

アンモナイトの分類による縫合線の特徴