食い、食われるアンモナイト/アンモナイトはなんの仲間?/みちのくはアンモナイトの宝庫 東北大学総合学術博物館

食い、食われるアンモナイト

ヘリコプリオンの歯の位置の復元図

ヘリコプリオンの歯の位置の復元図

長い間、世界中の海で栄えたアンモナイトは、どんなものを食べ、どんな動物に食べられていたのでしょうか?
石炭紀~ペルム紀の地層から、アンモナイトによく似た渦巻き状の化石が発見されました。これはアンモナイトの仲間ではなく、それどころか敵だったと考えられています。ヘリコプリオン(Helicoprion)というサメの仲間の、なんと「歯」なのです。何十という歯が渦巻状に並んだ、こんな奇妙な形の歯はどのように使われていたのでしょうか? 口の中でどのように配置されていたのでしょうか? 上あごについていた? 下あごについていた? 背中についていた? その向きは? いろいろな複元図が描かれてきましたが、現在では下図のように下あごにつき、獲物をとらえたり、切り裂いたり、殻をくだいたりするのに使われたのではないかと考えられています。このようなおそろしい歯をもつヘリコプリオンはアンモナイトにとっては最大の敵であった可能性があります。

アンモナイトは何を食べていたのでしょう? 現生のオウムガイやイカ・タコと同じく、アンモナイトは顎器と歯舌をもっています。顎器は食物を噛みちぎるためにつかわれ、小さく尖った歯が何列も並んだ歯舌で、えさを削りとります。これらをもつことから、アンモナイトは肉食であったと推定されています。現生のオウムガイは魚の死骸や甲殻類を食べています。アンモナイトの住房部(軟体部のあるところ)からまとまって甲殻類や二枚貝の破片化した化石が見つかることから、アンモナイトの食性は現生のオウムガイと同じであったのではないかと考えられています。